予防医療と東洋医学

東洋医学とは

東洋医学とは、その名の通り東洋を起源とする医学のことをいいます。古代中国で生まれ約2000年の歴史を持つ東洋医学は、7世紀頃日本に伝来したとされています。

古くからの医学書に基づいて漢方薬を投薬する「漢方医学」と、鍼灸を用いて体のつぼを刺激する「鍼灸医学」この二つを合わせたものが東洋医学の基本概念です。日本に伝わった後、さまざまな要素を取り入れて、派生・発展を遂げている医学です。

東洋医学の思想

東洋医学では、「人と自然・環境は一体である」という思想(天人合一思想)を基本とし、身体を構成する様々な要素のバランスを整えることで健康を維持できると考えられています。

それらのバランスが崩れると病気になり、身体全体のバランスを整える治療を行います。

東洋医学の変遷

江戸時代前半までに、それぞれの思想や手法によって多くの流派が誕生し、発展していた東洋医学は、オランダから伝わった蘭学によりもたらされた解剖学や薬物学といった西洋医学が日本に広まったことにより、江戸時代中期には、やや衰退傾向になってしまいました。

その後、明治政府の西洋化政策により、東洋医学はさらに衰退してしまうことになります。しかし、鍼や灸、按摩などは視覚障害者の重要な仕事口であったこともあり、伝統的治療の一つとして消えることなく残ってきました。

そして現在、高齢化社会が進むにつれて、東洋医学は国内外で再評価をされ、その効果が認められています。

1988年には「鍼師」「灸師」「あん摩・マッサージ・指圧師」が国家資格として認められ、2006年にはWHO(世界保健機関)において、「経穴(ツボ)」の国際標準の認定がなされるなど、東洋医学は世界中から認められ、注目される伝統医学へと発展しています。